論文

category

tomato aspermy virusに関する論文②

tomato aspermy virus(TAV)ベクターを用い、キク属モデル植物のキクタニギクにウイルス誘導性遺伝子サイレンシング(VIGS)を誘導した論文がPlantsのオンラインで公開されました。
村井さん(D3)の博士論文に関わる研究の第二報です。

https://www.mdpi.com/2223-7747/11/3/430/htm←論文への直リンクです。

Murai H, Mochizuki T. (2022) Virus-Induced Gene Silencing in Chrysanthemum seticuspe Using the Tomato Aspermy Virus Vector. Plants. 11(3):430. https://doi.org/10.3390/plants11030430

「日本に発生する植物ウイルス・ウイロイド」英文総説

植物病理学会植物ウイルス分類委員会でまとめた英文総説、「日本に発生する植物ウイルス・ウイロイド」がJGPPでオンラインになりました。

日本の植物ウイルス研究を牽引するそうそうたる先生方がご専門の植物ウイルスについて執筆された総説で、植物ウイルス研究における日本の貢献から、現在日本に発生している植物ウイルス・ウイロイドの最新分類、そして各ウイルス科の詳細など充実した内容です。望月も分担執筆させて貰いました。

オープンアクセスです!

https://link.springer.com/article/10.1007/s10327-022-01051-y (論文へのリンク)

Fuji S, Mochizuki T, Okuda M, Tsuda S, Kagiwada S, Sekine KT, Ugaki M, Natsuaki KT, Isogai M, Maoka T, Takeshita M, Yoshikawa N, Mise K, Sasaya T, Kondo H, Kubota K, Yamaji Y, Iwanami T, Ohshima K, Kobayashi K, Hataya T, Sano T, Suzuki N*. (2022) Plant viruses and viroids in Japan. Journal of General Plant Pathology (in press)

tomato aspermy virusに関する論文①

tomato aspermy virus(TAV)の2bタンパク質の機能解析とウイルス誘導性遺伝子サイレンシング(VIGS)に関する論文がウイルス専門誌Archives of virologyのオンラインで公開されました。
村井さん(D3)が博士論文のために取り組んでいる研究の第一報です。

https://link.springer.com/article/10.1007/s00705-021-05344-z←論文への直リンクです。

cucumber mosaic virus(CMV)やTAVなどのククモウイルス属の2bタンパク質はRNAサイレンシング抑制タンパク質(VSR)として知られています。私たちは当研究室に保存されていたTAVキク分離株の感染性クローンを作成し、TAV 2bタンパク質に人為的に変異を導入してVSR活性に重要な2bの領域やアミノ酸を決定しました。また、Nicotiana benthamianaでのTAVによるVIGS誘導には、TAV 2bタンパク質のVSR活性を低下させる必要があることを明らかにしました。

Murai, H., Atsumaru, K. & Mochizuki, T. Effect of mutations in the 2b protein of tomato aspermy virus on RNA silencing suppressor activity, virulence, and virus-induced gene silencing. Arch Virol (2022). https://doi.org/10.1007/s00705-021-05344-z

卵菌ウイルス4

植物病原性卵菌であるGlobisporangium ultimum(旧Pythium ultimum)に感染している新奇フザリウイルス(Pythium ultimun RNA virus 1、PuRV1)と新奇トティウイルス(Pythium ultimun RNA virus 2、PsRV2)に関する論文がウイルス専門誌virusesのオンラインで公開されました。
福西さん(2021年博士前期課程修了)が卒論と修論で取り組んだ研究です。

https://www.mdpi.com/1999-4915/13/10/1931 ←論文への直リンクです。

私たちが2018年にG. polare から卵菌トティウイルスPpRV1を初発見してから、同じく植物病原性卵菌であるPhytophthoraやブドウべと病菌から相次いで卵菌トティウイルスが報告されていました。卵菌トティウイルスはRNA複製酵素の保存領域アミノ酸配列に類似性が見られるものの塩基配列相同性はとても低いので、異なる祖先トティウイルスがそれぞれの卵菌宿主に感染し、卵菌宿主に適応するためにRNA複製酵素に収斂進化が起こったという仮説を提案しています。

また今までに真菌と卵菌のみから発見されているフザリウイルスのコドン使用頻度を調べると、卵菌ウイルスであるPuRV1も含めてフザリウイルスのコドン使用頻度はGlobisporangium Phytophthora よりも真菌に適応していたので、PuRV1祖先ウイルスは真菌宿主からG. ultimum 祖先へと界をまたいで水平伝搬してきたと推測しています。

Fukunishi, M.; Sasai, S.; Tojo, M.; Mochizuki, T. Novel Fusari- and Toti-Like Viruses, with Probable Different Origins, in the Plant Pathogenic Oomycete Globisporangium ultimumViruses 202113, 1931.

日本農薬学会誌にショートレビューを寄稿しました

日本農薬学会誌のショートレビューに「植物ウイルス感染による退緑症状の発病機構 -ウイルスによる葉緑体代謝の制御-」というタイトルで寄稿させていただきました。植物ウイルス感染が葉緑体代謝に与える影響について、世界の最新の研究を紹介したレビューです。
同じく45巻1号にショートレビュー「LC-MS/MSによる食品中の残留農薬-斉分析法へのサロゲート法の活用について-簡単で精確な分析法の確立を目指して-」を寄稿されている伴野有彩さん(大阪府立環境農林水産総合研究所)は当研究室のOGです。

リンク:日本農薬学会誌2020年第45巻目次

卵菌ウイルス3

植物病原性卵菌であるGlobisporangium splendens(旧Pythium splendens)に感染している新奇二本鎖RNAウイルス(Pythium splendens RNA virus 1,PsRV1)に関する論文がウイルス専門誌virologyのオンラインで公開されました。

https://authors.elsevier.com/a/1Zgy19j6wXGtp ←論文への直リンクです。

八田さん(2017年博士前期課程修了)と芝君(現博士前期課程2回生)がそれぞれ修論と卒論で取り組んだ研究です。
G. splendensに感染していた二本鎖RNAウイルスの全長配列を決定して,北極のコケに感染していたG. polareから同定したPythium polare RNA virus 1(PpRV1)と類似したトティウイルス様ウイルスであることを明らかにしました。さらに,PsRV1は温度依存的に無性胞子を介して垂直伝搬することを示した論文です。

Shiba K1Hatta C1 (equal contribution), Sasai STojo MOhki STMochizuki T*. (2019) A novel toti-like virus from a plant pathogenic oomycete Globisporangium splendens. Virology 537: 165-171.

RNAウイルスの適応進化

同義置換をウイルスゲノムに大規模導入した変異キュウリモザイクウイルスの進化に関する論文がJournal of Virologyにアクセプトされました。

https://jvi.asm.org/content/early/2018/08/31/JVI.01007-18

人為的な変異RNAウイルスを使ったモデル実験系により、「ウイルスゲノムRNA二次構造の有害な変化はウイルス進化を駆動する」というコンセプトを提唱した論文です。
望月が米国ペンシルベニア州立大学Roossinckラボに留学していた2014年から開始した研究の第一報になり、Roossinck教授との共同研究の成果です。

Mochizuki T*, Ohara R, Roossinck MJ. (2018) Large-scale synonymous substitutions in the cucumber mosaic virus RNA 3 facilitate amino acid mutations in the coat protein. Journal of Virology (In press)

卵菌ウイルス2

北極域のコケから分離されたGlobisporangium polare(旧Pythium polare)に感染している新奇二本鎖RNAウイルス(Pythium polare RNA virus 1,PpRV1と名付けました)に関する論文がウイルス専門誌virologyのオンラインで公開されました。

笹井さん(2018年博士前期課程修了)が卒論と修論で取り組んだ渾身の論文です。
G. polareに感染していた二本鎖RNAウイルスの全長配列を決定して,トティウイルスに類似する新奇な非分節二本鎖RNAウイルスであることを明らかにしました。PpRV1は宿主菌の生育には影響を与えていない潜在感染ウイルスでした。面白いことに,同じく極地の海域に生息する珪藻からもPpRV1に類似したRNA配列があることがわかり,極地に生息するストラメノパイルに共通して感染しているウイルスであるかも知れない(あくまで可能性です)ことを示しました。
※この研究は笹川科学研究助成の支援を受けて行ったものです。

Sasai S, Tamura K, Tojo M, Herrero M-L, Hoshino T, Ohki ST, Mochizuki T*. (2018) A novel non-segmented double-stranded RNA virus from an Arctic isolate of Pythium polare. Virology 522: 234-243

卵菌ウイルス

Globisporangium nunn (旧Pythium nunn)から検出された新奇パルティティウイルス(Pythium nunn virus 1と名付けました)のウイルス遺伝子配列に関する論文がオンラインで公開されました。

https://link.springer.com/article/10.1007/s00705-018-3880-0

八田さん(2017年博士前期課程修了)がP. nunnから発見し、芝さん(現博士前期課程1年)がウイルス全長配列を決定した、卵菌で初めて見つかったパルティティウイルスです。
※パルティティウイルス科ウイルスは植物、糸状菌、原生動物に無病徴感染しているウイルスです。

Shiba K, Hatta C, Sasai S, Tojo M, Ohki ST, Mochizuki T*. (2018) Genome sequence of a novel partitivirus identified from the oomycete Pythium nunn. Archives of Virology 163: 2561–2563

上梓

大木教授著の教科書「微生物学」(東京化学同人)と大木教授共監修の「植物ウイルス大事典」(朝倉書店)が上梓されました。