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卵菌ウイルス4

植物病原性卵菌であるGlobisporangium ultimum(旧Pythium ultimum)に感染している新奇フザリウイルス(Pythium ultimun RNA virus 1、PuRV1)と新奇トティウイルス(Pythium ultimun RNA virus 2、PsRV2)に関する論文がウイルス専門誌virusesのオンラインで公開されました。
福西さん(2021年博士前期課程修了)が卒論と修論で取り組んだ研究です。

https://www.mdpi.com/1999-4915/13/10/1931 ←論文への直リンクです。

私たちが2018年にG. polare から卵菌トティウイルスPpRV1を初発見してから、同じく植物病原性卵菌であるPhytophthoraやブドウべと病菌から相次いで卵菌トティウイルスが報告されていました。卵菌トティウイルスはRNA複製酵素の保存領域アミノ酸配列に類似性が見られるものの塩基配列相同性はとても低いので、異なる祖先トティウイルスがそれぞれの卵菌宿主に感染し、卵菌宿主に適応するためにRNA複製酵素に収斂進化が起こったという仮説を提案しています。

また今までに真菌と卵菌のみから発見されているフザリウイルスのコドン使用頻度を調べると、卵菌ウイルスであるPuRV1も含めてフザリウイルスのコドン使用頻度はGlobisporangium Phytophthora よりも真菌に適応していたので、PuRV1祖先ウイルスは真菌宿主からG. ultimum 祖先へと界をまたいで水平伝搬してきたと推測しています。

Fukunishi, M.; Sasai, S.; Tojo, M.; Mochizuki, T. Novel Fusari- and Toti-Like Viruses, with Probable Different Origins, in the Plant Pathogenic Oomycete Globisporangium ultimumViruses 202113, 1931.