研究内容

1. 生理活性天然物の化学合成研究

特異な構造と生理活性を有する天然物の合成研究を行います.全合成完成後は、誘導体の合成、生理活性評価、標的タンパク質解明のためのプローブ化を行います.現在は、本学名誉教授林 英雄先生が発見された高選択的かつ強力な昆虫麻痺活性物質アスペルパラリンオカラミンならびに長命草の生理活性成分イソサミジンを標的に合成研究を行っています.

・Shinji Tanimori, Tatsuya Sunami, Kouji Fukubayashi and Mitsunori Kirihata Tetrahedron 2005, 61, 2481–2492.

・Tsuyoshi Douchi, Masahiro Akitake, Motohiro Sonoda, Yasumasa Sugiyama, and Shinji Tanimori, Synth. Commun. 2020, 50, 1504-1511.

 

2. 複素環化合物の合成研究とケミカルライブラリーの構築、創薬・創農薬研究

環内に窒素原子を有する複素環化合物は、医薬、農薬、香料、機能性物質などとしてきわめて重要です.効率的で、誘導体合成に適した合成法の開発を行い、ライブラリー構築を行います.ライブラリー化合物は、創薬、創農薬のためのスクリーニングに供し、ヒット化合物はさらに創薬研究に発展させます.

 

1. メタルフリー合成法の開発

毒性のある遷移金属触媒を用いない環境に優しい合成法を開拓しています.

 

ヨードベンゼンを触媒に用いる環化反応によるオキサゾールの簡便な合成法

Midori Kamiya, Motohiro Sonoda, Shinji Tanimori, Tetrahedron 2017, 73, 1247-1254.

 

プロリンを触媒に用いた塩基性条件下ビアリールカップリング反応

Miho Tsujii, Motohiro Sonoda, and Shinji Tanimori, J. Org. Chem. 2016, 81, 6766−6773.

 

2. 遷移金属触媒を用いた効率的合成法の開発

パラジウムや銅などの遷移金属触媒を用いた簡便で効率の良い合成法を開発しています.

銅触媒を用いたワンポットインドール合成法

 

Shinji Tanimori, Haruna Ura, and Mitsunori Kirihata, Eur. J. Org. Chem. 2007, 3977–3980.

 

パラジウム触媒を用いたワンポットフェナントリジノン合成法

 

Kouichi Tanimoto, Naomichi Nakagawa, Kazutaka Takeda, Mitsunori Kirihata, Shinji Tanimori, Tetrahedron Lett. 2013, 54, 3712–3714.

 

3. 食品機能性成分の合成と機能評価

食品にはポリフェノールをはじめとして様々な機能性物質が含まれています.これらを化学合成し、機能生評価、誘導体合成、標的タンパク質解明などの研究を行っています.

 

・レスベラトロール誘導体の合成と機能評価

フェニルボラン酸とスチレンの酸化的Heck反応を利用した簡便な合成法を開発し、様々な機能評価(抗酸化活性、放射線防護活性、アンドロゲン受容体転写抑制効果)を行っている.

簡便なレスベラトロール合成法

Saori Uzura, Emiko Sekine-Suzuki, Ikuo Nakanishi, Motohiro Sonoda, Shinji Tanimori, Bioorg. Med. Chem. Lett. 2016, 26, 3886–3891.

 

4. 新しい香気性物質の創製

これまでに無い化学構造を持った新規な香気性物質を合成し、香気評価や、生理機能を調べています.

 

新規キノキサリン系香料の開発

当研究室で開発した2−ハロアニリンとアミノ酸を出発物質とする銅触媒下ワンポットキノキサリノン合成法を利用して、一連のキノキサリン誘導体を効率よく合成する方法を見いだした.合成した化合物は香気評価を行い、新規合成化合物に食品香料として好ましい香気を有することがわかった.

 

Mia Imanishi, Motohiro Sonoda, Hironari Miyazato, Keiichiro Sugimoto, Mitsugu Akagawa, and Shinji Tanimori, ACS Omega 2017, 2, 1875−1885.

 

5. 機能性化粧品の有効性成分

天然物をベースとした、安全で効果的な機能性化粧品の有効成分の開発を目的としている.チロシナーゼ阻害物質、紫外線吸収剤の合成と評価を行う.

 

グラブリジン 甘草より抽出されるチロシナーゼ阻害剤(美白剤)